パソコン初心者でも簡単・安全な「ハードディスク処分方法」とは?

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近年のコンピューターの進歩は目覚ましく、家庭用パソコンも次々に新しいモデルが登場しています。ペースの速い人なら、2年くらいで使っているパソコンを新しく買い替える方も珍しくありません。

そんなときに問題になるのが古いパソコンの廃棄方法です。大切な個人情報を情報漏えいから守るため、今回はパソコンに詳しくない人でも簡単にできる「ハードディスク処分方法」をご紹介しましょう。

  1. ハードディスク処分で気をつけておきたいこと
  2. ハードディスク処分を安全に行うための手順
  3. ハードディスク処分を業者に依頼する際の注意点

1.ハードディスク処分で気をつけておきたいこと

ハードディスクは、パソコンの中で「情報を記録している部品」です。そのままにしておくと、悪意ある第三者の手に渡ったとき、あなたの大切なデータや個人情報が盗み見られてしまいます。

ハードディスクからの情報漏えいを防ぐは、「捨て方」にも細心の注意を払わなくてはならないのです。

1-1.ハードディスクを含むパソコンは、自治体では処分できない

まず、大前提として抑えておかなければならないことがあります。「パソコンは燃えないごみ・粗大ごみとしては出せない」ということです。

「資源有効利用促進法」により、平成15年10月からパソコンはメーカーによる自主回収、リサイクルが義務付けられたため、通常の不燃物・粗大ごみとして処分することはできなくなってしまいました。 地球環境のためにはやむを得ないことですが、その分処分の方法は限られてしまうことになります。

1-2.「見てほしくない情報」は個人情報だけじゃない

「ハードディスクからの情報漏えい」というと、住所や氏名、クレジットカードやネットバンクの暗証番号が知られてしまい、犯罪に利用されることがよく知られています。

しかし、あなたがハードディスクに保存している「他人に見てほしくないデータ」は本当にこうした個人情報だけでしょうか。たとえば、仕事で使う「外部に知られたらまずいデータ」や、「お客様には絶対に知られたくない、うちわでの本音をやりとりしたメール」をうっかり残してしまっている、なんてもこともあるはず。

また、プライバシーにかかわる「ブラウザーでお気に入りにしているサイト」などもあるでしょう。「犯罪」とまではいかなくても、「他人が見たとしたら気分が良くない情報」はいろいろあります。そう考えると、「自分のパソコンには大事なデータはなにも入っていない。他人が中身を見たとしても構わない」と自信を持っていえる人はあまりいないはずです。

1-3.情報漏えいで起きたトラブル事例

ハードディスク処分にかかわる個人情報漏えいでは、実際に次のような事件も起きています。

「不燃ごみ集積場に捨てられていたパソコンを通行人が拾い、試しに電源をつけてみたら中には個人情報らしきものが多数保存されていた・・・」

このパソコンは、持ち主が仕事のために会社に持ち込んで使用していました。廃棄するにあたりハードディスクの破壊を怠ったために、拾った人が個人情報を閲覧することができたのです。

幸い、このケースではパソコンを拾った人に悪意がなかったため、大事には至りませんでしたが、もし悪意ある第三者の手にこのパソコンが渡っていたとしたら、重大事に発展してしまう可能性も十分にありました。

こうした事態を避けるためにも、ハードディスク処分を行う際は、「データが読み取れないよう、確実に破壊してから廃棄する」必要があるのです。

2.ハードディスク処分を安全に行うための手順

パソコンを廃棄するときは、ハードディスクの情報が読み取れないよう、確実に破壊してから捨てなくてはなりません。方法はいくつかありますが、以下のような手順に沿って進めるのが一般的です。

2-1.ハードディスクのデータを「論理的消去」する

ハードディスクに保存されたデータを消す際、一般的には不要なファイルをゴミ箱に入れて消去する、データをすべて初期化する、といった方法がとられます。

こうしたデータを消去する方法の問題点は、その気になれば「後からデータを復旧することも可能である」ということです。ある程度知識のある人にとって、大して難しい作業ではありません。

そこで、まずは「論理的消去」を行う必要があります。論理的消去とは、単に一部のデータを消してしまうのではなく、ハードディスクのすべての領域を意味のないデータで埋め尽くし、完全に復旧できない状態にすることです。

論理的消去は、専用のソフトを使って行います。安価なものなら1000円程度で買えるため、手に入れるのは難しくありません。指示どおりに実行すればいいため、操作は簡単です。

2-2.機械でハードディスクを壊す「物理的消去」を行う

論理的消去を行ったら、次はデータだけでなくハードディスクそのものを破壊してしまいましょう。ハードディスクに穴を開け、中のデータを読み取れないようにしてしまうのです。このプロセスを「物理的消去」といいます。

ハードディスクに穴を開けるには、専用の機械が必要です。 論理的消去を行ったハードディスクからは、原理的に元のデータを読み取ることはできません。ただし、ハードディスク自体は残っているので、何かの手違いで論理的消去が失敗したとき、データを復元されてしまう可能性も残されています。そこで、念には念を入れてハードディスクそのものを破壊してしまうことで、「データの読み取り」自体を不可能にしてしまうのです。

2-3.使えなくなったハードディスクを捨てる

論理的消去、物理的消去を行えば、情報漏えいの心配はありません。しかし、まだ肝心な問題が残っています。壊れたハードディスク、およびパソコンそのものをどうやって処分するかという問題です。

ハードディスクは使えなくなりました。しかし、パソコンそのものが「普通の不燃ごみ」に変わるわけではありません。前述したとおり、パソコンは処分の方法が限られているので、パソコン自体をどうやって捨てるかもあらかじめ考えておかなければいけないのです。

3.ハードディスク処分を業者に依頼する際の注意点

自分でやるのはなかなか大変で、失敗したときのリスクも大きいハードディスク処分。自力で行う以外にも、「業者に依頼する」という方法があります。ここからは、ハードディスク処分を業者に依頼する際、どんなことに気をつけるべきかをご紹介しましょう。

3-1.ハードディスクを自分で廃棄するのは面倒

自力でのハードディスク処分は、手間がかかる上にさまざまな困難がつきまといます。まず、論理的消去を行うための専用ソフトを購入しなくてはいけません。たびたび使うものではないだけに、決して高くはないといってもあまり積極的にお金を出したくはないはずです。

また、物理的消去をどうやって行うかも考えなくてはなりません。ハードディスク破壊機は業務用のため、安いものでも数十万円以上します。ドリルやハンマーを使えば自力でも破壊は可能です。しかし、ハードディスク自体を分解しなくてはならず、パソコンに詳しくない人にとっては簡単ではありません。

ここまでいろいろな手間をかけて自力でハードディスクを破壊したとしても、結局最終的には専門業者に引き取ってもらう必要があります。それなら、最初から業者に依頼したほうが手間もかからないというものです。

3-2.業者選びのポイントは「データ消去までやってくれるか」

先に述べたとおり、パソコンはメーカーによる自主回収、リサイクルが義務付けられているので、不要になったパソコンはメーカーに送りつければ処分してもらうことができます。家電量販店が実施している回収サービスを利用してもいいでしょう。

ただし、ここで問題になるのが「処分の方法は業者ごとに異なる」という点です。ちゃんとハードディスクを破壊してくれる業者もありますが、「データ消去については自己責任でお願いします」という業者も少なくありません。 データ消去を行う業者の中にも、「論理的消去だけしかやっていない」というケースもあります。業者に依頼する場合は、事前にその業者がデータ消去をどこまでやってくれるのか、確認しておいたほうがいいでしょう。

3-3.処分に手間がかからない業者を選ぼう

廃棄費用やデータ消去の方法以外にも注目しておきたい点はあります。「処分が済むまでにこちらの手間がどれだけかかるか」ということです。

たとえば、業者にパソコン本体をそのまま持ち込むと「ハードディスクの取り外しには別途料金がかかります」といわれてしまうこともあります。いちいち取り外して持っていくのは面倒なもの。本体をそのまま引き取ってくれる業者に依頼するほうがいいでしょう。

店舗で処分してもらう場合、目の前でハードディスク処分を行ってくれるので「確実に壊れた」という保証が得られます。しかし、直接足を運ぶのが面倒という人は、郵送で処分してもらうほうが簡単です。

まとめ

最後に、今回ご紹介したハードディスク処分のポイントを簡単におさらいしておきましょう。

  1. ハードディスク処分で気をつけておきたいこと
  2. ハードディスク処分を安全に行うための手順
  3. ハードディスク処分を業者に依頼する際の注意点

以上のことに注意することで、ハードディスクからの情報漏えいを防ぎ、安全に古いパソコンを処分することができるのです。