RAID搭載パソコンを廃棄するときのデータ消去|RAID解除だけでは不十分?
2026/09/29
「RAIDを組んでいたパソコンを処分したいけれど、普通のPCと同じデータ消去で大丈夫?」
「RAID設定を削除すれば、HDDやSSDのデータも消える?」
「複数のHDD・SSDを搭載している場合は、全部消去する必要がある?」
複数のHDDやSSDを組み合わせて利用するRAIDは、自作PC、BTOパソコン、ワークステーション、業務用パソコンなどで利用されています。
RAIDには、複数のドライブへデータを分散する方式や、同じデータを複数のドライブへ複製する方式などがあります【注1】。
そのため、RAID搭載パソコンを廃棄するときは、一般的な1ドライブ構成のパソコン以上に「どの記録媒体へデータが残っているか」を確認する必要があります。
特に注意したいのが、RAID設定そのものを削除することと、HDD・SSDのデータを消去することは別だという点です。
RAID搭載パソコンを廃棄するときは、「RAIDボリュームを削除する」のではなく、「そのパソコンで使用していた記録媒体をすべて確認して処理する」と考えることが重要です。
この記事では、RAID0・RAID1・RAID5・RAID10の違い、処分前に確認したいHDD・SSD、データ消去方法、故障したRAID搭載PCの扱い、パソコン処分本舗へ処分を依頼するときのポイントを解説します。
- RAID搭載パソコンの廃棄でデータ消去が必要な理由
- RAIDの種類によってデータの保存方法はどう違う?
- 処分前に確認したいHDD・SSD
- RAID搭載パソコンのデータを消去する方法
- SSDでRAIDを構成している場合の注意点
- 故障したRAID搭載PCを処分する場合
- パソコン処分本舗へ処分を依頼する場合
この記事は次のような方におすすめです
- RAIDを組んだデスクトップPCやワークステーションを廃棄したい方
- RAID設定を削除すればデータも消えるのか気になっている方
- 複数のHDD・SSDを安全に処分したい方
- 故障して起動しないRAID搭載PCを処分したい方
- 会社で使用したパソコンのデータ消去証明書が必要な方
1.RAID搭載パソコンの廃棄でデータ消去が必要な理由
RAID搭載パソコンも、処分時の基本的な考え方は通常のパソコンと同じです。
HDDやSSDには、写真、文書、メール、顧客情報、社内資料などが残っている可能性があります。
一方で、RAIDでは複数の記録媒体をひとつの論理ドライブとして使用することがあるため、一般的なPCより構成を把握しにくくなります。
RAID設定の削除とデータ消去は別
RAID搭載PCでは、BIOS・UEFI、RAIDコントローラーの設定画面、管理ソフトなどからアレイや論理ボリュームを削除できる場合があります。
しかし、RAID構成を削除する操作は、複数の物理ドライブをどのように組み合わせて使用するかという設定を変更するものです。
それぞれのHDD・SSDについて、保存されていた領域全体を安全に消去したことを意味するわけではありません。
廃棄する場合は、RAIDの設定だけではなく、構成していた物理ドライブそのものを確認しましょう。
クイックフォーマットだけではデータ領域を上書きしない
Windowsのフォーマットにも注意が必要です。
Microsoftでは、クイックフォーマットについて、ファイルテーブルやルートディレクトリを削除する一方、ディスクの各領域をセクター単位で確認する処理は行わないと説明しています【注2】。
そのため、重要な情報を保存していた記録媒体について「クイックフォーマットをしたから安全」と判断するのは避けた方がよいでしょう。
機密情報を含む媒体では、保存されていた情報の重要度や媒体の種類に合ったデータ消去方法を選択する必要があります。
データの重要度に合わせて消去方法を決める
NISTの「SP 800-88 Rev.2 Guidelines for Media Sanitization」では、記録媒体を再利用・廃棄するとき、保存されていた情報の機密性や想定されるリスクに応じて適切なサニタイズ方法を選択する考え方が示されています【注3】。
家庭で使用していたPCと、顧客情報や機密文書を扱っていた業務用PCでは、求めるデータ消去レベルが同じとは限りません。
特に企業で使用していたRAID搭載PCでは、社内の情報セキュリティ規程も確認しましょう。
故障したPCでもデータが消えたとは限らない
パソコンが起動しなくなった場合でも、HDD・SSDのデータが自動的に消えるわけではありません。
電源、マザーボード、RAIDコントローラーなどが故障し、記録媒体そのものは正常という場合もあります。
「Windowsが起動しないからデータは読めない」と考えず、記録媒体にはデータが残っている前提で処分しましょう。
2.RAIDの種類によってデータの保存方法はどう違う?
RAIDには複数の方式があり、それぞれデータの保存方法や耐障害性が異なります。
IBMでは、RAIDの基本的な考え方として、複数のディスクへデータを分割する「ストライピング」、複数ディスクへ複製する「ミラーリング」、冗長情報によって障害に備える方法などを説明しています【注1】。
RAID0|複数のドライブへデータを分散する
RAID0では、データを複数のドライブへ分散して書き込みます。
読み書き性能を高めやすい一方、冗長性はありません【注1】。
たとえば2台のHDDでRAID0を構成していれば、一つのデータに関する情報が複数のドライブへ分散していることがあります。
1台だけでは完全なデータを再構築できない場合でも、記録情報が残っていることには変わりません。
処分するときは、RAID0を構成していたすべてのドライブをデータ消去の対象として考えましょう。
RAID1|同じデータを複数のドライブへ保存する
RAID1では、ミラーリングによって同じデータを複数のドライブへ保存します【注1】。
そのため、2台のドライブでRAID1を構成していた場合、一方だけを消去しても、もう一方に同じ情報が残っている可能性があります。
RAID1では特に、「1台消去したから終わり」としないよう注意が必要です。
RAID5|データとパリティを複数ドライブへ分散する
RAID5では、複数のディスクへデータとパリティ情報を分散して保存します【注1】。
一部のドライブが故障しても、残ったデータとパリティから情報を再構築できる構成です。
一台のドライブだけにすべてのファイルがそのまま存在するわけではありませんが、だからといって未消去のまま処分してよいわけではありません。
RAID5を構成していたすべてのドライブを処理対象とします。
RAID10|ミラーリングとストライピングを組み合わせる
RAID10は、RAID0のストライピングとRAID1のミラーリングを組み合わせた方式です【注4】。
データを複数ドライブへ分散しながら、ミラーリングによって冗長性を持たせます。
そのため廃棄時には、RAID10を構成していたHDD・SSDをすべて確認する必要があります。
RAID方式にかかわらず全ドライブを確認する
処分時に「RAID0だから」「RAID5だから」と個々のドライブから復元できる可能性を判断する必要はありません。
RAIDに参加していた記録媒体は、基本的にすべてデータ消去対象として扱う方が確実です。
3.処分前に確認したいHDD・SSD
RAID搭載パソコンでは、現在アレイを構成している記録媒体以外にもデータが残っている場合があります。
現在RAIDを構成しているHDD・SSD
まず、RAIDを構成しているドライブの本数を確認します。
自作PCやワークステーションでは、
- 3.5インチHDD
- 2.5インチHDD
- SATA SSD
- M.2 NVMe SSD
などが組み合わされている場合があります。
RAID管理画面だけではなく、実際に搭載されている記録媒体の種類や本数も確認しましょう。
OS用の別ドライブ
よくあるのが、Windows用SSDとデータ保存用RAIDを分けている構成です。
たとえば、
- M.2 SSD:Windows・アプリケーション
- HDD4台:データ保存用RAID
といった構成です。
この場合、RAID側を消去しても、OS用SSDにはユーザー情報、ブラウザデータ、一時ファイルなどが残っている可能性があります。
RAIDだけではなく、パソコンに搭載されているすべての記録媒体を確認してください。
ホットスペア
RAID構成によっては、ドライブ故障時に使用する予備のホットスペアを用意していることがあります。
一度もアレイへ組み込まれていないドライブであればユーザーデータが保存されていない場合もありますが、過去の使用履歴が分からないケースもあります。
廃棄する場合は、搭載されている記録媒体を一覧にして確認すると処理漏れを防ぎやすくなります。
過去に交換した故障ドライブ
RAID運用中にHDD・SSDが故障し、新しいドライブへ交換している場合があります。
その際に取り外した古いドライブを、机や倉庫へ保管したままにしていないでしょうか。
故障したドライブでも、すべての記録領域が読めなくなっているとは限りません。
PC本体の入れ替えを機に、過去に取り外した記録媒体も確認しましょう。
外付けバックアップ媒体
RAIDとバックアップは目的が異なります。
RAIDによってドライブ障害へ備えていても、外付けHDDやNASなどへ別途バックアップしているケースがあります。
PCと一緒に古いバックアップ媒体も処分する場合は、それぞれ別の記録媒体としてデータ消去を検討してください。
USBメモリ・SDカード
USBメモリやSDカードをPCへ接続したままにしていないかも確認します。
PC内部のHDD・SSDを消去しても、取り外し可能な外部媒体のデータは消えません。
4.RAID搭載パソコンのデータを消去する方法
RAID搭載PCを廃棄するときは、自分で記録媒体を消去する方法、記録媒体を取り外す方法、専門業者へ任せる方法があります。
方法1.必要なデータをバックアップする
最初に、今後必要なデータを別の記録媒体やクラウドへ移します。
RAID構成を解除した後では、以前と同じ方法でファイルへアクセスできなくなる場合があります。
データ消去やRAID設定の変更を始める前にバックアップしましょう。
方法2.構成ドライブをすべて把握する
データ消去前に、
- RAIDレベル
- 構成しているHDD・SSDの本数
- OS用ドライブの有無
- ホットスペアの有無
- 外付けバックアップ媒体の有無
を確認します。
企業で複数台のPCを処分する場合は、パソコン本体だけでなく記録媒体単位で一覧を作成すると管理しやすくなります。
方法3.記録媒体に合ったデータ消去を行う
記録媒体を再利用する場合は、専用のデータ消去機能や機器を使用する方法があります。
NIST SP 800-88 Rev.2では、媒体のサニタイズを「Clear」「Purge」「Destroy」などの考え方に整理し、情報の機密性や媒体、再利用の予定などに応じて適切な方法を選ぶことを求めています【注3】。
家庭用PCで使用していた記録媒体と、顧客情報や社外秘情報を保存していた業務用媒体では、求める処理方法が異なる場合があります。
企業の場合は自社の情報セキュリティポリシーも確認してください。
方法4.HDD・SSDを取り外して保管する
記録媒体を第三者へ渡したくない場合は、HDD・SSDを取り外してPC本体だけ処分する方法があります。
取り外した媒体は、
- 社内や自宅で保管する
- 別のPCで再利用する
- 専門業者で消去する
- 適切な方法で物理処理する
といった対応ができます。
RAID搭載PCでは複数ドライブがあるため、取り外し忘れがないか確認してください。
方法5.専門の回収業者へ任せる
RAID構成や記録媒体の扱いが分からない場合、自分で無理に処理する必要はありません。
パソコンの回収とデータ消去の両方に対応する業者へ依頼する方法があります。
故障してOSが起動しない場合でも、記録媒体を取り外して処理できる業者であれば対応できます。
5.SSDでRAIDを構成している場合の注意点
近年はHDDだけでなく、SATA SSDやNVMe SSDを複数搭載してRAIDを構成するPCもあります。
SSDはHDDとは記録方式が異なるため、同じ消去方法が常に適しているとは限りません。
SSDは媒体に合った消去方法を選ぶ
SSDはフラッシュメモリを使用しており、HDDとは内部構造やデータ管理方法が異なります。
NISTの最新ガイドラインでも、媒体の種類や実装に応じて、適切な規格やベンダーが提供するサニタイズ機能を検討する考え方が示されています【注3】。
「HDDで行っていた方法をSSDでもそのまま使えばよい」と判断せず、使用しているSSDに対応した方法を選びましょう。
M.2 SSDの取り外し忘れに注意する
自作PCやワークステーションでは、3.5インチHDDや2.5インチSSDとは別に、マザーボード上へM.2 SSDが搭載されていることがあります。
PCケースのドライブベイだけを確認すると、M.2 SSDを見落とす可能性があります。
OS用、キャッシュ用、データ用など複数のM.2 SSDを搭載している場合もあるため、マザーボード上のスロットも確認しましょう。
6.故障したRAID搭載PCを処分する場合
RAID搭載PCが故障して起動できなくても、データ消去を諦める必要はありません。
RAIDが壊れていても記録媒体には情報が残る
RAID管理画面でアレイが「Degraded」や「Failed」になっていても、記録媒体自体の情報がすべて失われているとは限りません。
RAID1などのミラーリングでは、一方のドライブが故障しても、もう一方からデータを利用できることがあります【注1】。
RAID障害をデータ消去の代わりと考えないようにしてください。
HDD・SSDを取り外して本体だけ処分する
起動できず、自分でデータを消去できない場合は、HDD・SSDを取り外して手元に残す方法があります。
パソコン処分本舗では、HDDなどの記録媒体を取り外したパソコンも回収しています。
「記録媒体は社内で処理したい」「データが心配なので手元へ残したい」という場合は、PC本体だけ処分できます。
自分で無理に物理破壊しない
HDDやSSDを処分するために、自分でドリルやハンマーを使用する方法を考える方もいるかもしれません。
しかし、金属片の飛散などによってけがをする可能性があります。
また、SSDは外装だけを壊しても内部のフラッシュメモリが残る場合があります。
物理的な処理が必要な場合は、専用設備を持つ業者へ依頼する方法があります。
7.パソコン処分本舗へRAID搭載PCを依頼する場合
パソコン処分本舗では、デスクトップパソコン、ノートパソコン、自作PC、BTOパソコンなどの回収を行っています。
RAIDを構成した自作PCやワークステーションについても、通常のパソコンと同様に処分を相談できます。
故障したパソコンも回収できる
RAIDエラーでWindowsが起動しないPCや、電源が入らないパソコンでも回収を相談できます。
パソコン処分本舗では、再利用できる機器はリユースし、再利用が難しいものは部品・資源としてリサイクルしています。
記録媒体を取り外したPCでも回収できる
RAIDを構成していたHDD・SSDを自分で管理したい場合は、記録媒体を取り外した状態で本体だけ回収してもらうこともできます。
データを保存した記録媒体を社外へ出さない方針の企業でも利用しやすい方法です。
記録媒体を搭載した状態でもデータ消去に対応
自分でHDDを取り外したりデータ消去したりするのが難しい場合は、記録媒体を搭載した状態で回収を依頼できます。
パソコン処分本舗では、回収したパソコンについて利用者の希望の有無にかかわらずデータ消去処理を行っています。
RAID構成のPCを依頼する場合は、「HDD4台でRAIDを組んでいる」など、分かる範囲で記録媒体の種類や本数を伝えておくと確認しやすくなります。
SSDを搭載している場合は事前に確認する
パソコン処分本舗のデータ消去案内では、HDDについて専用機器によるデータ消去や物理的な処理方法が詳しく掲載されています。
SSDやNVMe SSDなどHDD以外の記録媒体については、機種や構成によって扱いが異なる可能性があるため、RAID構成のSSDを搭載している場合は事前に処理方法を確認すると安心です。
データ消去証明書も利用できる
会社で使用していたパソコンなど、データ消去の記録を残す必要がある場合は、パソコン処分本舗のデータ消去証明書を利用できます。
証明書には、消去日、消去方法、記録媒体の型番やシリアル番号などが記載されます。
RAIDでは1台のパソコンに複数の記録媒体が搭載されているため、証明書が必要な場合は対象となるHDDの本数も確認しておきましょう。
詳しいデータ消去の内容は、パソコン処分本舗のデータ消去についてをご確認ください。
宅配回収も利用できる
パソコン処分本舗では、全国から宅配回収を利用できます。
RAID用に複数台のHDDを搭載したワークステーションなどは一般的なPCより重量がある場合があるため、発送前に梱包後のサイズと重量を確認しましょう。
まとめ|RAID搭載PCはすべての記録媒体を確認してから廃棄しよう
RAID搭載パソコンでは、複数のHDD・SSDへデータが保存されています。
RAID構成を削除したり、Windowsから論理ドライブが見えなくなったりしただけでは、それぞれの記録媒体に保存された情報が適切に消去されたとは限りません。
処分前には、次の点を確認してください。
- RAIDを構成しているHDD・SSDは何台あるか
- OS用の別ドライブが搭載されていないか
- ホットスペアがないか
- 過去に交換した故障ドライブが残っていないか
- M.2 SSDを見落としていないか
- 外付けバックアップ媒体も処分する予定ではないか
- 故障したPCにもデータが残っている可能性を考えたか
- 会社の情報セキュリティ規程で消去方法が指定されていないか
- データ消去証明書が必要か
RAID搭載PCの廃棄では、RAIDの種類から「このHDDなら処理しなくても大丈夫」と判断するのではなく、使用していたすべての記録媒体を対象にすることが重要です。
自分で記録媒体を管理したい場合は、HDD・SSDを取り外してPC本体だけ処分する方法があります。
自分で対応するのが難しい場合は、記録媒体を搭載した状態で、データ消去に対応したパソコン回収サービスを利用する方法があります。
パソコン処分本舗では、故障したパソコン、自作PC、BTOパソコンなどの回収を行っており、記録媒体を取り外した状態でも処分できます。
また、記録媒体を搭載したパソコンについては回収後にデータ消去を行い、必要に応じてデータ消去証明書も利用できます。
「RAID1のHDDが2台ある」「4台のHDDでRAID5を組んでいる」「SSD RAIDを処分したい」「RAIDが故障して起動できない」といった場合は、搭載している記録媒体の種類と本数を確認したうえでパソコン処分本舗へご相談ください。






