サーバー入れ替え時のデータ消去と廃棄手順|媒体別の確認点

サーバーの入れ替えが決まると、新しい機器へのデータ移行だけでなく、使い終えたサーバーや内部の記録媒体をどう処分するかも検討しなければなりません。データを消す前に、移行漏れや保存期間、機器の所有関係を確認しておく必要があります。

サーバーの廃棄は、対象機器と記録媒体を洗い出し、移行・保管するデータを確定してから、再利用・返却・廃棄に合った消去方法を選ぶのが基本です。

この記事では、サーバー入れ替え時の準備、HDD・SSD・バックアップ媒体のデータ消去、撤去や廃棄を委託するときの確認事項を紹介します。

  1. サーバー入れ替え前に整理する対象機器とデータ
  2. 再利用・返却・廃棄に合わせたデータ消去方法
  3. 撤去・廃棄を委託するときの記録と確認事項

この記事はこんな方におすすめです。

  • サーバー更新に伴い、旧機器やストレージの処分を担当する方
  • 移行データを残しながら、廃棄対象のデータを安全に消去したい方
  • 消去証明書や作業記録を含め、委託先の選び方を確認したい方

サーバー入れ替え前に対象機器とデータを整理する

サーバー本体だけを処分対象と考えると、外付けストレージやバックアップ媒体などを見落とすおそれがあります。入れ替え計画の初期段階で機器と記録媒体を一覧にし、どのデータを移行・保管・消去するかを決めましょう。

サーバー本体と記録媒体を一覧にする

処分対象を把握するため、サーバー本体だけでなく、ストレージ装置や取り外し可能な媒体も確認します。たとえば、次のような機器・媒体が対象になります。

  • タワー型・ラック型サーバー
  • 内蔵HDD・SSD、RAID構成内のドライブ
  • NAS・SANなどの外部ストレージ
  • バックアップ用の外付けHDD・SSD・磁気テープ
  • USBメモリーなど、作業時に接続した記録媒体

資産管理番号、メーカー、型番、シリアル番号、媒体の種類と台数、所有者、処分予定を一覧にします。機器と内蔵媒体を別々に管理している場合は、どのサーバーにどの媒体が搭載されているかもひも付けてください。

仮想環境を利用している場合は、仮想マシンのデータだけでなく、スナップショットや複製先、バックアップ先にも確認範囲を広げます。物理サーバーからデータを移した後も、別の機器や媒体に複製が残っている場合があるためです。

移行・保管するデータと消去対象を確定する

旧サーバーを停止する前に、新環境で必要なデータやシステムが使えるかを確認します。データのコピーが完了したかだけでなく、業務アプリケーションが正常に動作するか、必要なファイルを開けるかも担当者や利用部門と確かめます。

法令や契約、社内規程で保存期間が決まっている情報は、移行・保管先と管理責任者を明確にします。保存が必要なデータを処分機器に残したままにすることも、必要な情報を確認せず消去することも避けなければなりません。

個人情報保護委員会のガイドラインは、個人データが記録された機器や電子媒体を廃棄する際、復元不可能な手段で行うことや、削除・廃棄の記録を保存すること、委託時には証明書等で処理を確認することを重要な点として示しています。【注1】

自社所有・リース・レンタルの機器を分ける

入れ替えるサーバーが自社所有とは限りません。リース・レンタル機器や、保守契約に伴い返却する機器は、契約先の返却条件を確認します。返却前に自社で媒体を取り外したり、消去・破壊したりすると契約に反する可能性があるため、作業内容を決める前に提供元へ問い合わせましょう。

返却機器、自社で再利用する機器、廃棄する機器を分けておけば、データ消去や搬出の手配も進めやすくなります。判断がつかない機器は「確認中」として一覧に残し、担当部署や契約先に確認してから処分対象へ移してください。

再利用・返却・廃棄に合わせてデータ消去方法を選ぶ

データ消去の方法は、機器の行き先や情報の機密性、記録媒体の種類によって検討します。サーバーの初期化やボリュームの削除だけで、記録媒体上の情報まで復元できない状態になったとは判断できません。個人情報保護委員会は、専用のデータ削除ソフトウェアや物理的破壊を方法の例として挙げています。【注1】

再利用・返却・廃棄の行き先を先に決める

同じサーバーでも、社内で再利用するのか、リース会社へ返すのか、売却・廃棄するのかで確認事項が変わります。まず行き先を決め、社内ルールや契約条件に合った消去方法を選びましょう。

行き先確認すること
社内で再利用 旧データを消去した後、利用者や用途を変更できる状態か
リース・レンタル先へ返却 返却前の消去・媒体取り外しに関する契約条件
売却・再資源化 消去方法、対象媒体、作業結果の記録と確認方法
廃棄・物理破壊 媒体の破壊方法、機器の処理先、処理完了の記録

NISTの「SP 800-88 Rev.2」は、記録媒体のサニタイズに関する指針です。これは米国の技術文書であり、日本国内のすべての事業者に一律で適用される法律ではありません。消去方法を検討する際の参考資料として、情報の機密性や機器の再利用予定と合わせて確認できます。【注2】

HDD・SSD・バックアップ媒体の種類を伝える

記録媒体にはHDD、SSD、磁気テープなどがあり、機器によって消去方法や対応できる処理が異なります。HDD向けの作業を、そのままSSDやテープにも適用できるとは限りません。媒体の種類、型番、台数を特定し、メーカーや消去を依頼する事業者へ対応方法を確認します。

RAID構成の場合は、論理上のボリュームだけでなく、構成する各ドライブが処理対象に含まれるかを確認してください。予備ドライブや取り外し済みの媒体、交換作業中に保管したドライブも一覧と照合します。

データ消去を外部へ委託する場合は、対象媒体の識別番号と作業結果を結び付けて記録できるかも確認しましょう。媒体の台数だけを記載した報告では、どの機器のデータが処理されたのか追いにくくなる場合があります。

故障などで消去できない媒体は物理破壊も検討する

電源が入らない、媒体を認識しないなどの理由でソフトウェアによる消去ができない場合は、別の処理方法を検討します。情報の機密性や再利用の可否を踏まえ、物理破壊が必要か、専門業者に判断を依頼しましょう。

サーバーの内部には複数の媒体が組み込まれていることがあります。筐体を開けて自己判断でドライブを破壊するのではなく、対象媒体の特定、作業時の安全、処理後の記録まで含めて手順を決めるほうが確実です。障害機器の処理を依頼する場合は、未処理媒体が残ったときの扱いも契約前に確認します。

サーバー撤去・廃棄を委託するときの確認事項

サーバーの入れ替えでは、新機器の稼働確認、旧機器の停止、媒体の消去、搬出、廃棄を順番に進めます。委託先を選ぶときは、料金や回収方法だけでなく、どの作業を誰が担当し、完了後に何を受け取れるのかを確認してください。

作業場所・対象機器・搬出範囲を決める

サーバーを設置場所で消去するのか、機器を搬出してから処理するのかを決めます。機密情報の持ち出しを避けたい場合は、オンサイト作業の対応可否や、作業立ち会いの有無を確認します。搬出する場合は、機器を施設外へ出す担当者、運搬中の管理方法、引き渡し記録も確認事項です。

見積もりや問い合わせ時には、次の情報を伝えると対応範囲を確認しやすくなります。

  • サーバー本体・ストレージ装置の台数と型番
  • HDD・SSD・テープなど媒体の種類と数量
  • 再利用・返却・廃棄の予定
  • 現地作業、搬出、データ消去、物理破壊の希望
  • シリアル番号入りの消去証明書や作業報告の要否
  • 希望する撤去日と、新サーバーの切り替え予定

消去結果と機器識別番号を記録する

外部業者へ処理を委託する場合は、どの機器・媒体に対して、いつ、どのような処理を実施したのかを確認できる記録を受け取ります。記録には、資産管理番号やシリアル番号、媒体の種類、作業日、消去・破壊の方法、処理結果などが含まれるかを確認します。

データ消去証明書は、すべてのサーバー処分で同じ様式を必ず取得しなければならないものではありません。社内規程、取引先との契約、監査で必要な記録を確認し、必要な場合は対象媒体を識別できる形式か、未処理や故障媒体の扱いまで記載されるかを見てください。

パソコン処分本舗の既存記事では、法人PCの処分記録やデータ消去証明書について解説しています。サーバー入れ替えでPCも処分する場合は、法人PCの廃棄時に残す記録と証明書も参考になります。

委託先の処理範囲と再委託先を確認する

窓口となる会社が、データ消去、機器の搬出、再資源化まで自社で行うとは限りません。作業のどこまでを委託先が担当し、外部へ再委託する場合はどのように管理するのかを確認しましょう。

見積書や契約書では、対象機器、媒体の数、消去方法、搬出・運搬、処理完了の条件を照らし合わせます。廃棄物として処理する機器がある場合は、処理を担う事業者や必要書類についても、排出側の責任者と委託先で確認してください。説明が曖昧な項目を残したまま、機器を引き渡さないようにします。

サーバー入れ替え時のデータ消去・廃棄は対象の洗い出しから

サーバーの入れ替えでは、旧機器を止めてすぐ廃棄するのではなく、機器・記録媒体・保存データ・所有関係を整理してから処理方法を決めます。HDD、SSD、磁気テープなど媒体の種類と、再利用・返却・廃棄の行き先に応じて消去方法を確認しましょう。

次に行うことは、以下の3つです。

  1. サーバー本体、内蔵ドライブ、外部ストレージ、バックアップ媒体を一覧にする
  2. 新環境への移行と保存の要否を確認し、消去対象を確定する
  3. 処理方法、搬出範囲、作業記録・証明書の要否を委託先に確認する

サーバー本体やストレージの処分先を検討するときは、機器の型番、台数、媒体の種類を整理してから問い合わせると、対応可否を確認しやすくなります。入れ替えに伴って不要になった一般的なパソコンやHDDについては、パソコン処分本舗のデータ消去方法もご覧ください。サーバー本体やSSD・テープ媒体の回収条件は、事前にお問い合わせのうえご確認ください。

出典