
デジタル遺品って何? 遺品整理をする場合はどうしたらいいの?
2015/09/26
遺品とは、故人が残した現金や有価証券など資産価値がはっきりとわかるもの以外の物品です。
一例をあげると、愛用品や衣服・蔵書・コレクション。
家具や家電も遺品といえるでしょう。
しかし、今はそれに加えてデジタルで遺(のこ)された情報があります。
そこで、今回はデジタル遺品とは何かということや、遺品整理の方法をご紹介しましょう。
デジタル遺品は取り扱いを間違えると、遺産争いにまで発展することもあります。
パソコンやスマートフォンを使っている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
目次
1.デジタル遺品って何?
デジタル遺品とは、故人のスマートフォンやパソコンの中に遺(のこ)されたデータのことです。
ここ20年の間に世の中は急速に電子化が進みました。
一例をあげると、インターネットバンキングや株券の電子化があります。
これらを使えば、通帳や証券を持たずに資産運用もできるでしょう。
また、写真や映像などをパソコンやスマートフォン、さらにSDカードなどへ記録している人も多いと思います。
しかし、これらのデータは本人が亡くなってしまえば、どこに何があるのか分からなくなる場合も多いでしょう。
特に、インターネットバンキングなどは、パスワードが分からなければ口座のページを開くことさえできません。
また、自分がパソコンやスマートフォンに記録してあるものを家族に見られたくない、という方もいるでしょう。
そのうえ、遺族がパソコンに詳しくない場合はそのままパソコンを処分してしまい、個人情報が流出する危険性もあるのです。
2.デジタル遺品の種類とは?
では、デジタル遺品にはどんなものがあるのでしょうか?
この項では、デジタル遺品の種類をご説明していきます。
2-1.資産価値のある遺品
インターネットバンキングの口座や株券などは、資産価値があるため遺産扱いになります。
しかし、家族がそのような情報を知らないと遺産を分配し終わった後に、発見されることもあるでしょう。
それが、遺産争いの火種になる場合があります。
また、故人がFXなどで損をしていた場合、多額の借金が発覚する可能性もあるのです。
2-2.SNSやブログの記録
FacebookやTwitterなどSNSに登録されている方は多いでしょう。
また、ブログを開設している方も少なくないと思います。
SNSを通じてたくさんの人と交流をしていたりブログに多数読者がいたりする場合は、急に更新がとだえれば心配されるでしょう。
さらに、悪意ある第三者が故人に成りすましたり嘘の情報を流したりする可能性もあります。
ネットの世界では一度デマが広がってしまうと、打ち消すのは大変です。
2-3.ハードディスクに保存されたイラストや文章、写真など
故人が趣味で集めたものや、家族の思い出などがハードディスクに保存されている場合も多いでしょう。
しかし、中には見られたくないものもあるかと思います。
特に、趣味のものと思い出の写真などを一緒に保存しておいた場合は、遺族が困惑するかもしれません。
2-4.ゲームのアカウントなど
今は、インターネット上でゲームを楽しむ方も多いでしょう。
その中には、複数で協力してプレイをするものもあります。
故人のアカウントもしっかりと抹消しないと、トラブルの元になる可能性があるのです。
さらに、故人がゲームをやりこんでいてレアアイテムなどを多数所持していた場合は、「譲ってほしい」「売ってほしい」という依頼がたくさん来る可能性もあります。
そこから、金銭問題に発展するかもしれません。
3.データの遺品整理はどうしたらいいの?
故人がインターネットバンキングを利用していたり株券を所持していたりした場合は、生前にパスワードなどを聞いておきましょう。
そして、一通りの手続きが終わり口座の凍結が解除されたときに、通常の銀行口座と同じように処理をしてください。
また、株券の場合も同様です。
証券会社に連絡を取って名義を書き換えるなどしましょう。
さらに、FXや株取引を行っていた場合は、口座にアクセスして残高などを確認してください。
資産がマイナスになっている場合は、遺産から補てんするなどの処置を取りましょう。
負債額が大きすぎる場合は遺産を放棄することも考えてください。
また、SNSやブログには故人が亡くなったことを告知するなり、アカウントを削除するなりします。
インターネット上で親しくお付き合いをしていた人がいる場合は、亡くなったことを個別に伝えてもよいでしょう。
ゲームのアカウントは削除します。
「譲ってくれ」「売ってくれ」という依頼はトラブルの元になる可能性が高いので、遺族がパソコンに詳しくない場合は断ったほうがよいでしょう。
また、故人がプライベートで集めていたものは、プライバシーにかかわることなので見ないで削除してください。
故人のパソコンを処分する場合は、必ずデータをすべて消去してからリサイクルに出したり売却したりしましょう。
そのまま処分すると、個人情報が流出してしまう可能性があります。
また、故人の交友関係を知っておくために、携帯電話やスマートフォンだけは手元に残しておくとよいでしょう。
現在は、デジタル遺品を整理してくれる業者もいます。
遺族がパソコンに詳しくなく何をしてよいか分からない場合は、そのような業者に依頼しましょう。
4.普段からパソコンの中を整理しておこう
人がいつ亡くなるかは、残念ですが予想できません。若くても交通事故などで亡くなる場合もあります。
「自分のパソコンに保存してあるデータを見られたくない」「主に利用している銀行は通帳がないインターネットバンキングだ」などという場合は、いざというときに備えてマニュアルを作っておきましょう。
自分が使っているSNSやブログ、銀行口座、株取引などを行っている口座などのパスワードをノートなどに書いておきます。
そして、第三者の目にふれないところにしまっておき、家族にそのノートの場所だけを知らせておきましょう。
また、家族の写真と趣味の記録などは分けて保存しておいてください。
さらに、「どうしても家族に見られたくない」というものがある場合は、一定期間パソコンにアクセスしないとデータを削除するソフトなどが公開されています。
そのようなものを利用しましょう。
ただし、長期旅行中にデータが消えてしまわないように使うものは選んでください。
5.おわりに
いかがでしたか?
今回はデジタル遺品やデジタル遺品整理の仕方などをご説明しました。
まとめると
- デジタル遺品とは、パソコン内のデータや口座、SNSなどのアカウントのことである。
- パスワードが分からなければ、預金残高も株券の内容も分からなくなる。
- SNSやブログのアカウントを放置しておけば、悪意の第三者に利用されることもある。
- 不用意にパソコンを処分すると、個人情報が流出するかもしれない。
- 遺族がパソコンに不慣れな場合は、デジタル遺品を整理してくれる業者を利用しよう。
- 普段から、パスワードなどをまとめて家族に分かるようにしておこう。
ということです。
現在は、パソコンに非常に詳しい人と、全く分からない人の差が大きな時代。
パソコンに詳しい方が亡くなり不慣れな方が遺(のこ)された場合、デジタル遺品が手つかずのままということもあるでしょう。
金銭的な価値のあるものが手つかずだった場合は、前述したように後でトラブルになる場合もあるのです。
ですから、デジタル遺品も通常の遺品と同じように早めに整理しましょう。