学校のパソコン、そのまま捨てて大丈夫?GIGAスクール端末の処分と情報漏えい対策

GIGAスクール構想で全国の小中学校に配備された端末が、今まさに大量に更新時期を迎えています。2025年度から2026年度にかけて、約950万台の端末が処分・更新の対象になると見込まれています。これだけの台数が一斉に出てくる事態は、日本の教育現場では前例がありません。【注1】

問題は、その処分が適切に行われていないケースが多いことです。児童・生徒の個人情報が含まれた端末を、データ消去が不十分なまま廃棄してしまうリスクが現実に存在しています。全国の教育委員会を対象にした調査では、適切なデータ取り扱いができていると判断できた割合はわずか12.5%という結果が出ています。【注2】

この記事は、学校・教育委員会・教育機関の担当者に向けて、GIGAスクール端末を含むパソコンの処分で押さえておくべき情報管理の注意点と、実際の処分手順・業者選びの基準を整理します。

  1. GIGAスクール端末の処分が増えている背景
  2. 教育機関が端末を処分するときの注意点
  3. 端末の種類別、処分前の手順
  4. 学校・教育委員会向けの処分方法と費用比較
  5. 業者選びのチェックポイント
  6. よくある質問
  7. まとめ

こんな状況の方に読んでほしい記事です。

  • 学校・教育委員会でGIGAスクール端末の更新・廃棄を担当している方
  • 児童・生徒のデータが含まれた端末の処分方法に悩んでいる方
  • 法人・団体として端末を一括処分したい方

1.GIGAスクール端末の処分が増えている背景

GIGAスクール構想は2019年に始まり、2020年度には全国の小中学校に約915万台の端末が配備されました。端末の更新は5年おきと定められており、2025年度から2026年度がその最初の大規模更新のピークとなっています。MM総研の予測では、2025年度に約474万台、2026年度に約455万台の更新需要が見込まれています。【注3】

これだけの台数が短期間に排出されるのは、リユース・リサイクル業界にとっても前例のない規模です。問題は台数だけではありません。これらの端末には児童・生徒の学習履歴・成績・個人情報が含まれている場合があり、処分の際のデータ管理が自治体の信頼に直結します。

また、2025年10月のWindows 10サポート終了とも時期が重なるため、学校の管理職員や担当者が同時に複数の対応を迫られる状況が生まれています。処分方針を早めに決めておくことが、担当者の負担を減らすうえでも重要です。

2.教育機関が端末を処分するときの注意点

一般的な企業や個人の端末処分と異なり、学校・教育機関には守るべきルールと確認事項が複数あります。処分を急ぐ前に、この章で整理しておきましょう。

文部科学省の処分方針を確認する

文部科学省・経済産業省・環境省は2023年10月に、各教育委員会に向けて端末の処分方針を提示しています。その内容は主に3点です。

  • 確実なデータ消去の徹底
  • 小型家電リサイクル法または資源有効利用促進法に基づく処分
  • 再利用する場合は地域内での再使用を優先すること

GIGAスクール端末は補助金を受けて調達した自治体の資産です。国の方針に沿った処分を行うことは、補助金の要綱にも関わります。担当者が独断で処分方法を決めるのではなく、教育委員会として方針を確認したうえで進めることが重要です。

データ消去の証明書を必ず取得する

端末を処分した後に「本当に消去されていたか」を確認できる手段は、消去証明書しかありません。文部科学省の教育情報セキュリティポリシーガイドラインでは、専用ソフトウェアを用いた1台ごとの消去ログ・証明書の取得が規定されています。【注4】

ところが、前述の調査では、1台ごとの資産管理番号が区別できる証明書を取得していた教育委員会はわずか20.2%にとどまっています。証明書の取得は、後から情報漏えい問題が発生した場合の対応にも直結するため、業者選びの段階で必ず確認してください。

個人情報保護法上の責任は自治体にある

端末の処分を外部業者に委託した場合でも、児童・生徒の個人情報を適切に管理する責任は学校・自治体側にあります。「業者に任せたから大丈夫」では済まず、委託先が適切な処分を行っているかどうかを確認・監督する義務があります。業者選定の段階から、この視点を持って進めることが求められます。

3.端末の種類別、処分前の手順

GIGAスクール端末にはWindowsPC・Chromebook・iPadなど複数の種類があります。それぞれ処分前の手順が異なるため、端末の種類に合わせて確認が必要です。

Windows PC

WindowsのGIGA端末を処分する前には、まずMicrosoftアカウントや学校のAzure ADアカウントからサインアウトし、端末の登録を解除します。その後、専用の消去ソフトによる論理消去か物理破壊でデータを消去します。Windows初期化(リセット)だけでは消去基準を満たさないため、必ず専門の消去処理が必要です。

Chromebook

ChromebookはGoogleの管理コンソールから端末の登録を解除することが最初の手順です。登録解除を行わないと、次の所有者が端末を使用する際にアカウント情報が残るリスクがあります。その後、管理コンソールから「Powerwash(工場出荷状態へのリセット)」を実施し、業者によるデータ消去を依頼します。

iPad(タブレット)

iPadはApple Business ManagerまたはApple School ManagerからMDM(モバイルデバイス管理)の登録を解除します。その後、Apple IDからサインアウトし、「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行します。ただし、タブレット端末はeMMCと呼ばれる記録媒体を使っており、物理破壊が必要な場合は専用の装置が必要です。

共通して確認したい事項

確認項目内容
MDM・管理システムからの登録解除 処分前に必ず実施。残っていると次の利用者にアクセスされるリスクがある
アカウントのサインアウト Microsoft・Google・Appleそれぞれのアカウントを解除する
資産管理番号の記録 処分後の証明書と照合できるよう、台帳と番号を整合させておく
付属品の確認 ACアダプター・キーボード・カバーなど付属品の有無を記録する

4.学校・教育委員会向けの処分方法と費用比較

処分方法にはいくつかの選択肢があります。台数・費用・データ消去の確実性・証明書の要否に応じて選ぶことが重要です。

処分方法費用目安データ消去証明書向くケース
小型家電リサイクル法認定事業者への委託 無料〜有料(事業者による) 業者対応 発行可 国の方針に沿った処分を求められている場合
IT資産処分専門業者(ITAD)への委託 台数・消去方法による 論理消去または物理破壊 1台ごとに発行可 証明書が必要な場合・大量処分
メーカー・販売店への返却・回収 リース契約による 契約内容による 契約内容による リース契約終了時
無料宅配回収サービス 無料(送料込み) 業者対応 有料オプション 少台数・費用を抑えたい場合

学校・教育委員会として処分する場合、国の方針では小型家電リサイクル法の認定事業者への委託が推奨されています。ただし、大量台数の処分では費用・スケジュール・証明書の取得方法まで含めて複数社に見積もりを取ることをおすすめします。

少台数や個人所有のパソコンを処分するケースでは、データ消去込みの無料回収サービスが費用面で現実的な選択肢です。

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5.業者選びのチェックポイント

教育機関が処分業者を選ぶ際には、一般的な業者選定以上に確認すべき点があります。処分後に問題が発覚しても取り返しがつかないため、契約前に以下の点を確認してください。

必ず確認したい5つのポイント

  • 小型家電リサイクル法の認定事業者か 国の方針に沿った処分を行うための基本条件です
  • 1台ごとの消去証明書を発行できるか 資産管理番号と照合できる証明書でなければ監査に対応できません
  • データ消去の方法が明示されているか 論理消去か物理破壊か、端末の種類に応じた対応ができるかを確認します
  • プライバシーマーク・ISMS等の認証を取得しているか 個人情報の取り扱いに関する第三者認証があるかを確認します
  • 大量処分に対応できるか・スケジュールは合うか 更新時期に合わせた台数・納期で対応できるかを事前に確認します

避けたほうがいい業者のサイン

消去方法の説明が曖昧、証明書を発行できない、所在地や連絡先が不明確な業者は慎重に見てください。「無料」を前面に出していても、処分後のデータ管理についての説明がない業者は、学校・教育機関には適しません。

6.よくある質問

GIGAスクール端末の処分費用は誰が負担しますか?

原則として、端末を所有している自治体(教育委員会)が負担します。ただし、次期端末の調達仕様に処分費用を含める形で対応している自治体もあります。調査では、外部委託の予算を確保している教育委員会は28.8%にとどまっており、予算確保が課題となっています。早めに次年度の予算計画に組み込むことをおすすめします。

Chromebookは初期化すればデータは消えますか?

Powerwash(工場出荷状態へのリセット)を実施することでローカルデータは消えますが、MDM登録の解除を忘れると次の利用者がアカウント情報にアクセスできる状態が残ります。また、文部科学省のガイドラインでは専用ソフトによる消去ログの取得が求められているため、Powerwashだけで処分基準を満たしているとは言えません。

少台数の場合でも教育委員会を通す必要がありますか?

GIGAスクール端末は自治体の資産であるため、個人や学校単独での処分判断は避けてください。少台数であっても、教育委員会の方針に従った処分ルートを選ぶことが求められます。個人所有のPCや少台数の処分には、無料回収サービスを活用する方法もあります。

処分した端末から情報が漏えいした場合、誰の責任になりますか?

処分を外部委託した場合でも、個人情報の管理責任は学校・自治体側にあります。委託先が適切な処分を行っていたかどうかを事前に確認・契約していなかった場合、自治体の管理責任が問われる可能性があります。消去証明書の取得と業者の適切な選定が、リスク管理の基本となります。

7.まとめ

GIGAスクール端末の大量更新は2025〜2026年度がピークを迎えます。処分にあたっては、国の方針に沿ったデータ消去と小型家電リサイクル法に基づく処分ルートの選択が求められています。処分後の証明書取得と、委託業者の適切な選定が、情報漏えいリスクを防ぐ最大の対策です。

端末処分を進めるための3ステップ

  1. 教育委員会として処分方針を確認し、更新台数とスケジュールを把握する
  2. 端末の種類に応じた処分前手順(MDM解除・アカウントサインアウト)を済ませる
  3. 1台ごとの消去証明書を発行できる認定業者を選んで委託する

今のまま処分を後回しにすると、データが残った端末が長期間手元に置かれることになります。更新時期が集中する前に、処分の方針と業者選定を早めに進めておくことが重要です。

少台数・個人所有のパソコン処分については、データ消去込みの無料回収サービスも活用できます。

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出典

【注1】:「NEXT GIGAで端末の大量更新、求められる安全な廃棄と自治体の情報リテラシー」日経クロステック
URL:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/10325/

【注2】:「適切なデータ取扱いはわずか12.5%」株式会社アクト
URL:https://act1.co.jp/2025_06_04-1/

【注3】:「GIGAスクール端末の更新需要は、複数年に分散する見通し」MM総研
URL:https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=619

【注4】:「全国の自治体必読 GIGAスクール端末処分におけるチェックリストを公開」一般社団法人 児童生徒のデータプライバシー協会
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000156132.html